【保育バカ一代】vol.29 あなただけ見つめてる
コラム 2024.11.25【保育バカ一代】vol.13 プロに勝った主婦のチャーハン
昔テレビで見た料理番組の内容を、今でもよく覚えている。
それはプロの料理人と専業主婦による、冷蔵庫の余り物で作る炒飯対決だった。
先攻のプロは、ハムや卵やネギを使用した王道の炒飯を作った。家庭の火力でもパラパラに仕上げた腕前はさすがプロで、審査員たちにもうまいうまいと大好評だった。
次に、主婦が作った炒飯を見た審査員たちはビックリした。その炒飯にはナスがたくさん入っていたのだ。プロも「ナスは水分が多いので炒飯には向かない」と疑問を呈したが、審査員たちは実食してさらにビックリした。
「うまぁー――――い!!」
うまさの秘密は、あらかじめナスを油で揚げておくことだった。
対決の結果は満場一致で主婦の圧勝となった。
敗れたプロも「あの方法は思い浮かばなかった」と主婦を称えた。
文字通りプロ顔負けのナス炒飯だった。
主婦の勝利は「家族においしく食べてもらいたい」という日頃の思いがつかんだものだろう。我々の事業でも、プロの肩書きを持たない人(調理師免許を持っていない人、調理の仕事が初めての人など)が利用者さんとその家族のために、真心を込めて料理を作っている。
おいしいと言ってもらえることが嬉しい、もっと喜んでもらえるようにがんばろう、そんなひとりひとりのプロに負けないプロ意識によって、この事業は支えられている。
私の担当は料理ではなく保育だが、気持ちは同じだ。
保育園で働き始めた頃はまったくの初心者だったが、早く子どもや保護者から信頼されるようになりたくて、毎日先輩たちの仕事を見ながら必死に仕事を覚えた。もっと保育がうまくなりたい、もっと子どもを理解したいという気持ちは、今もあの頃と変わらない。
「資格や経験がなくてもできる仕事」とは、誰でも簡単にできる楽な仕事という意味ではない。
本気でやってみたいというチャレンジ精神は、きっと資格や経験に負けない武器になる。そういう意味だと私は思う。
事務局スタッフ“しげさん”による温かく、時にユーモラスな保育エッセイ♪
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