特定非営利活動法人バディチーム

新連載!【保育バカ一代】vol.1「北斗の拳」と見守る心

事務局スタッフ  “しげさん” による保育エッセイ「保育バカ一代」がスタートしました。

子どもや保護者との関わりにおいて大切なことやさまざまな保育の現場で感じたことを、あたたかくユーモラスな視点で綴っています。ぜひお読みください!

 

『北斗の拳』という漫画がある。法も秩序もない荒廃した世界にはびこる悪を必殺の拳法「北斗神拳」でやっつける主人公「ケンシロウ」の活躍は、世代を越えて愛されている。

 

この作品には敵・味方を問わず魅力的な人物が多数登場するが、中でも私は「南斗水鳥拳のレイ」が好きだった。ケンシロウと同じく強さと優しさを兼ね備えており、子どもを傷付けた悪党に向けて放った怒りの台詞「てめえらの血は何色だ!」は現在でも語り草である。

 

そんな彼の、子どもに対する優しさを象徴するシーンがある。

真剣な表情で考え事をしているレイのことを、幼い兄弟がジーッと見ている。怖がっている様子はない。

レイはニコッと笑い、懐からチョコレート(この世界では貴重な食糧)を取り出して兄に渡した。兄は嬉しそうにチョコレートを半分に割ろうとしたが、うまく割れずに大きいのと小さいのに分かれてしまった。兄は「あ…」と躊躇したが、やがて笑顔で「はい」と弟に大きい方のチョコレートを渡した。黙って見ていたレイも再びニコッと笑い、兄に「そう…それでいいんだ」と言った。実はレイにも妹がいるので、兄の弟に対する優しさが嬉しかったのだろう。

 

バイオレンスな世界観でありながら、このような心温まるエピソードがあるのもこの作品の魅力である。

 

もしもレイが「大きいのを弟にあげなさい」と口をはさんでいたら、きっと印象の薄いシーンになっていただろう。

レイが余計な口を挟まずに兄弟を見守り、兄が自分の意志で大きいチョコレートを弟にあげたから、レイの嬉しさが読者にも伝わってくるのである。

 

子どもに対してつい口うるさく言ってしまうことは家庭の育児でも仕事の保育でもよくあるが、時にはそんな気持ちをグッとこらえ、レイのように静かに子どもを見守るのもいいだろう。

 

 

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