【保育バカ一代】vol.29 あなただけ見つめてる
コラム 2024.11.25【保育バカ一代】vol.11 言い方についてのお話
おばあちゃんが育児を手伝っている利用者さんのお宅で、おばあちゃんから「子どもを抱っこすると抱き癖がつくので、抱っこはしない方がいいですよね」と聞かれた。
私が「昔はそういう考え方が一般的でしたね」と答えると、おばあちゃんは「え、じゃあ今は違うんですか?」とさらに聞いてきた。
「抱っこで安心させてあげる方が子どもの自立につながる、というのが今の考え方の主流ですね。もちろん必要以上に無理して抱っこしなくてもいいですが」と説明すると「へえ~、やっぱり昔と今では違うんですね」と納得してくれた。
初めに私が「昔はそうでしたね」と一定の理解を示したから、おばあちゃんは私の話に耳を傾けてくれたのだろう。
仮に「違います!その考え方は古いです!」と否定していたら、おばあちゃんは「そんな言い方しなくても…」と私の話を聞く気になれなかったかもしれない。つくづく言い方というものは大事である。
昔、保育園で仕事中、2歳のSちゃんがいきなり私の頭をパチーン!と叩いた。
「あいだっ!」とビックリした私を見て、Sちゃんはニコニコ笑っていた。本人は遊びのつもりなのだろうが、ここは先生として、人の頭を叩くのはよくないという事をきちんとSちゃんに伝えねばと思った。
私は「痛いよ~、ナデナデして~」と言って、叩かれた頭をSちゃんに差し出した。
するとどうだろう、Sちゃんはナデナデと私の頭をやさしく撫でてくれた。
私は嬉しくて「Sちゃんありがと~♪」とお礼を言った。
Sちゃんの心に人を思いやる気持ちが芽生えた……はずだった。だが次の瞬間、
パチーン!ナデナデ、パチーン!ナデナデ、パチーン!ナデナデ、パチーン…
「いでっ!あだっ!ちょっ!やめっ!ちがっ…」
頭を叩いて撫でてあげれば喜んでもらえると知った、Sちゃんの学習成果だった。
つくづく言い方というものは難しい。
事務局スタッフ“しげさん”による時に温かく、時にユーモラスな保育エッセイ♪
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