「家庭訪問型」と「居場所型」、子育て家庭を支える2つの支援の違いは?
活動・事例 2026.08.28
「家庭訪問型」と「居場所型」、子育て家庭を支える2つの支援の違いは?
子育て支援には、さまざまな形があります。
支援者が家庭を訪ね、日々の暮らしの中で親子を支える「家庭訪問型」の支援。家庭の外に、子どもや親子が安心して過ごせる場所をつくる「居場所型」の支援。
支援する場所も、そこでできることも異なりますが、どちらも子育て家庭を地域の中で支えていくための大切な方法です。
バディチームは、これまで家庭訪問型支援を活動の柱として、保育や家事、送迎などの具体的な支援を行いながら、親子に寄り添ってきました。現在はそれに加え、2024年から小さな居場所「ばうむ」での支援にも取り組んでいます。
家庭訪問型支援と居場所型支援には、どのような違いがあるのでしょうか。
「家庭訪問型」と「居場所型」は何が違う?
まず、それぞれの支援の特徴から見てみましょう。
バディチームが受託している こども家庭庁の「子育て世帯訪問支援事業」は、家事や子育てなどに不安や負担を抱える子育て家庭、妊産婦、ヤングケアラー等がいる家庭の居宅を訪問し、不安や悩みを聴きながら、家事・子育てなどの支援を行う事業です。
家庭や養育環境を整え、虐待リスク等の高まりを未然に防ぐことを目的としています。
一方、家庭の外に「居場所となる場」を設ける支援もあります。
子ども食堂や学習支援を行うような居場所は全国でも増えてきています。養育環境などに課題を抱え、家庭や学校に居場所のない子ども等に対して居場所となる場を設け、食事の提供や生活習慣の形成、学習のサポート、相談支援、関係機関へのつなぎなども行います。
家庭を訪問する支援と、家庭外に拠点を設ける支援の両軸で、子育てを支えているのです。
大きく整理すると、次のような違いがあります。
| 家庭訪問型支援 | 居場所型支援 | |
|---|---|---|
| 支援する場所 | 家庭・居宅 | 家庭外の拠点 |
| 支援へのつながり方 | 支援者が家庭へ出向く | 親子・子どもが場を利用する |
| 支援の特徴 | 暮らしの中で家事・育児・話し相手などで家庭の困りごとを支える | 安心して過ごせる場をつくり、食事・交流・学習・相談などで支える |
| 場所から見た特徴 | 家庭という生活の場に支援を届ける | 家庭の外に安心できる場をつくる |
どちらか一方が優れているということではありません。
家庭の中だからこそできる支援があり、家庭の外だからこそ生まれる時間や関係があります。
暮らしの中で一緒に手を動かす「家庭訪問型支援」
バディチームの家庭訪問型支援では、支援者が家庭に出向き、掃除や調理といった家事、子どもの送迎、遊び相手、学習支援、子育ての相談相手など、それぞれの家庭に必要なサポートを行っています。
◆参考記事
特徴は、単に家事や育児を代わりに行うことだけではありません。
週に1回や2回、定期的に訪問し、具体的な支援をすることで、養育者や子どもとの信頼関係を築き、家庭の孤立を防いでいくことを大切にしています。また、「制度の狭間」にある家庭に対する支援では、必要に応じて行政や関係機関と連携し、公的支援や地域の社会資源につなぐこともあります。
家庭に入ることで、外からは見えにくかった困りごとが見えてくることもあります。
実際、バディチームの「食の支援」では、食事づくりを目的に家庭を訪問する中で、孤立や生活環境の乱れ、子どもの安全への不安など、食事以外の課題が見えてくることがあります。そのような場合には、行政や関係機関と連携し、必要な支援につなげています。
◆参考記事
家庭という生活の場で、一緒に手を動かしながら支える。
それが、バディチームの家庭訪問型支援です。
「居場所に行くこと」が難しい家庭もある
地域には、児童館や子育て広場、子ども食堂など、親子を支えるさまざまな場所が増えています。
一方、バディチームが家庭訪問を続ける中では、経済的な困窮、病気や障がい、心身の不調など、さまざまな事情から、多くの人が集まる場所を利用すること自体に難しさを抱えている家庭があることも見えてきました。
そこでバディチームが考えたのが、家庭訪問とも、大勢が集まる居場所とも違う形で、
「自宅を離れて、ちょっと一息つける場所」
をつくることでした。
そこから始まったのが、小さな居場所「ばうむ」です。
◆参考記事
家庭の外だからこそ生まれる時間――小さな居場所「ばうむ」
「ばうむ」は、不特定多数の人が集まる大きな居場所ではありません。
基本的にマンツーマン、あるいは少人数で過ごすことのできる家庭的な場所です。バディチームでは、ここで温かい食事を囲んだり、遊んだりしながら、子どもが安心して過ごせる時間をつくっています。
そこでは、訪問支援の時とは違った子どもの姿が見えることもあります。
「ばうむ」で活動した子育てパートナーからは、家庭訪問では保護者の様子を気にしているように見えた子どもが、「ばうむ」では遊びに夢中になっていたという声がありました。また、支援する側からも、訪問支援では家庭に「お邪魔する」感覚なのに対し、「ばうむ」では子どもを「迎える」ような感覚があるという声が寄せられています。
家庭とは違う場所だからこそ、子どもが見せる姿がある。
そして、家庭を一時的に離れて過ごすことは、保護者にとっても育児負担を軽くする時間になります。バディチームでは、親子が自主的に離れて過ごすことは、子どもにとって親以外の信頼できる大人と過ごす経験にもなると考えています。
「訪問か、居場所か」ではなく、訪問から居場所へ
バディチームの居場所の大きな特徴は、家庭訪問型支援と居場所型支援を別々のものとして考えていないことです。
まず家庭訪問によって親子との関係を築き、その関係を基盤として、親子が安心して一時的に離れて過ごせる居場所につなげていきます。
「ばうむ」の担当スタッフも、基本的にはその家庭に訪問型支援で関わっている子育てパートナーです。子どもにとっては、すでに知っている大人がいる場所であり、保護者にとっても、家庭の事情を理解している支援者に子どもを託すことができます。
つまり、家庭を訪問して、関係をつくる。
その関係を、家庭の外にある安心できる場所へつなぐ。
訪問と居場所が連続していることが、バディチームの支援の特徴です。
2つの支援で、親子の孤立を防ぐ
子育てを取り巻く環境が変化する中、こども家庭庁も、親族や友人から支援を受けづらく、孤立感や不安感を抱えながら子育てをしている家庭があることから、状況が深刻になる前に家庭や養育環境を支える必要性を示しています。
家庭の暮らしの中に支援を届ける、家庭訪問型支援。
家庭の外にも、安心して過ごせる場所をつくる、居場所型支援。
支援する場所も、そこで生まれる時間も異なります。
だからこそ、どちらか一つだけではなく、それぞれの良さを生かしていくことが大切です。
バディチームでは、まず家庭を訪ね、一緒に手を動かしながら親子との関係を築いてきました。そして今、その関係を土台に、家庭の外にも安心できる場所をつくっています。
家庭の中にも、家庭の外にも、頼れる人がいる。
そんなつながりを少しずつ増やしながら、親や家族だけに子育てを背負わせず、「みんなで子育てする社会」を目指していきます。
バディチームの家庭訪問型支援と「みんなで子育て」についてお伝えしている動画もご覧ください。

