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お知らせ 2025.06.10
【保育バカ一代】vol.34 受験とマックとオムライス
あるお宅にもうすぐ1歳の弟くんと、幼稚園の年長組のお兄ちゃんがいた。保育対象は弟くんのみで、お兄ちゃんと両親は登園と出勤で不在になる。だが、お兄ちゃんは当時テレビで放送していたガンダムシリーズの新作と宇宙戦艦ヤマトのリメイクが好きだったので、私とお兄ちゃんはすごくウマが合った。
冬のある日、そのお兄ちゃんがニコニコと嬉しそうに言った。
「今度、受験の日にマックに行くんだよ~♪」
私の次の訪問日、お兄ちゃんは私立の小学校を受けに行くという。試験が行われるのは午後なので、その前にマクドナルドでお昼ごはんを食べるらしい。両親にしてみればとっても安上がりな前祝いなので、なかなかの孝行息子である。
受験当日、私が訪問したのはたしか午前11時だったと思う。お兄ちゃんと両親はすでにフォーマルな服に着替え、出かける準備は万端だった。そしてその服装のまま、お兄ちゃんと両親は食卓でモグモグとオムライスを食べていた。
あれ、マックはどうした?
この日の最初の仕事は弟くんの離乳食の介助だったが、きっと私はキョトンとした顔で大きなハテナマークを頭上に浮かべながら弟くんにアーンしていたのだろう。察したお母さんがオムライスの真相を教えてくれた。
「もしかしたら『今日のお昼ごはんは何を食べましたか?』と面接で聞かれるかもしれないじゃないですか。それでマックなんて答えたらちょっと印象が悪いというか、なんか恥ずかしいですよね。だからマックは帰りに寄ることにして、お昼はうちでオムライスにしたんです」
そういうものなのか。私は質問に答えるお兄ちゃんを想像してみた。
「お昼はマックのハッピーセットを食べました!」
「お昼はお母さんのオムライスを食べました!」
なるほど、たしかに印象が全然違う。小学校受験もなかなか大変である。
そんなお母さんの地道な努力の甲斐あって、無事に桜は咲いたのだった(合格)。
事務局スタッフ“しげさん”による保育エッセイ『保育バカ一代』
子どもや保護者との関わりにおいて大切なことや保育の現場で感じたさまざまなことを、あたたかくユーモラスな視点で綴っています。過去の記事はこちらからご覧ください!