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コラム 2025.04.30

【保育バカ一代】vol.33 ゴールデンカライ

大人も子どももカレーが大好きだ。普段あまり料理をしない私もカレーはたまに作る。いつも使う定番のルーはゴールデンカレーの辛口である。

 

ある日、私はカレーの材料を揃えるためにスーパーへ買い物に行った。すると、いつもの辛口ゴールデンカレーのとなりに見たことのない商品が並んでいた。

 

「ゴールデンカレー バリ辛」

 

その真っ赤な文字で書かれた挑戦的なネーミングは、いつも辛口を食べながら「もっと辛くてもいいのになあ」と思っていた私の心に火をつけた。

 

私はバリ辛を購入し、帰ってさっそくカレーを作った。私の目と鼻が節穴でなければ、見た目や香りはふつうの辛口と変わらない。さあ、食べよう。

 

「いっただきまーす!(パクッ)」

 

私の目と鼻は節穴だった。火がついたのは心ではなく口の中だった。なにが「もっと辛くてもいいのになあ」だ。頭皮の毛穴が開いて汗が噴き出るのを感じながら、私は「次は絶対にふつうの辛口を買おう」と心に誓った。ヒー、ハー。

 

ひとり暮らしの私は自分が食べたいカレーを自由に作れるが、子どもがいる家ではそうはいかない。大人用の辛口と子ども用の甘口を別々に作るか、または親が妥協して子どもと同じ甘口を食べなければならない。親も辛いものが苦手で甘口が好きなら話は早いが、親子が同じ鍋のカレーを食べるのも楽ではない。

 

ただ、カレーの辛さは子どもの成長を表すバロメーターでもある。私は訪問先で、「カレーの王子さま」しか食べたことがない子どもが初めてバーモントカレーを食べる瞬間に立ち会ったことがある。もちろん甘口だが、子どもが大人と同じカレーをおいしそうに食べるのを見て「ああ、この子はまたひとつ成長したのだな」としみじみ思った。まるで離乳食が完了して普通食になったようである。

 

ところが……あとでわかったことだが、この子はまだ保育園児なのにキムチが大好きで、納豆にもカラシを入れて食べるというツワモノだった。そのうちゴールデンカレーのバリ辛を平然と食べる子に育つかもしれない。

 

 


 

 

事務局スタッフ“しげさん”による保育エッセイ『保育バカ一代』

子どもや保護者との関わりにおいて大切なことや、保育の現場で感じたさまざまなことをあたたかくユーモラスな視点で綴っています。過去の記事はこちらからご覧ください!

 

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