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お知らせ 2024.08.22【登壇報告】オンラインイベント「里親制度のココが知りたい!地域と子どもと里親制度」
こちらも報告が遅くなりましたが、2022年11月26日(土)、認定NPO法人Living in Peaceさん主催のオンラインイベント「里親制度のココが知りたい!地域と子どもと里親制度」に理事の濱田が登壇させていただきました。
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Living in Peaceさんは、全員が本業をもちながら運営されているプロボノ集団で、途上国での「マイクロファイナンスプロジェクト」、国内の困難な家庭環境にある子どもたちを支援する「こどもプロジェクト」、日本に逃れてきた難民の方々を支援する「難民プロジェクト」を軸に活動されています。
「こどもプロジェクト」においては世田谷区のフォスタリング機関(里親養育包括支援機関)である「フォスターホームサポートセンターともがき」(社会福祉法人東京育成園)さんの普及啓発活動・里親リクルート活動に協力を行っており、今回のイベントはその一環として、東京都の里親月間である11月に合わせて開催されました。
【出演者】
・岩田祐一郎さん フォスターホームサポートセンターともがき(東京育成園)副センター長
・永安祐大さん Living in Peace里親子支援事業チーム
・大沼楽さん(司会)Living in Peace
・濱田壮摩 バディチーム 理事
1つ目のトークテーマは「今、なぜ里親が大事なのか?」
まず初めに永安さんから、制度上の狭義の里親(養育家庭・縁組里親)だけでなく、困った状況で子どもを少し預ける/預かるという、地域での助け合いの子育てを仕組み化することが重要との指摘。今回のテーマの射程を広く捉える視点が提示されました。
また岩田さんからは、児童養護施設で子どもの日常の生活を近くで見ているからこそできる里親子の支援があるという視点が語られ、濱田からは、実親実子家庭の抱えるさまざまな事情や「大変さ」に対する支援と同じ延長線上にバディチームの里親家庭支援があることをお伝えしました。
続けて、それぞれの立場からお互いの活動がどのように見えているかなどを語り合いました。
話題は次のテーマ「国・社会はどう変わるべき?」へ
岩田さんからは、里親家庭が地域の子育て支援サービスを利用する際の心理的ハードルについて指摘がありました。
「たとえば子育て支援など地域のサービスが使いづらい…という里親さんの声があります。もちろん支援や制度は受けられます。でも理解が得られないのではないか…という不安があるようです。また、里親になったのだから、人の手を借りずにやらなければ…と感じている人もいるようです。里親さんに支援サービスなどを紹介するときに感じます。」
里親家庭の登録やマッチングを担ってきた児童相談所は都道府県が所管していますが、地域のひろば事業や一時預かり事業などの子育て支援サービスの多くは市区町村が所管しています。こうした構造の中で、市区町村のサービス利用者としてそもそも里親家庭が想定されていない、ということが実際に起きています。
現在、東京都では世田谷区など区を単位として児童相談所が設置されていく流れがあります。そうした流れの中で、上記のような制度的・心理的な障壁も解消されていくことが期待されますが、同時に、市区町村のサービス提供従事者のみなさんに対して、里親制度や里親家庭での子育てについて理解を深めてもらえるよう発信を行っていく必要があることを、濱田からお伝えしました。
また永安さんからは、普及啓発・リクルート、つまり「広報」の人材と財源の確保を、その領域には専門性のない福祉事業者が担わなければならない現状への指摘があり、一同共感。
ともがきさんでも、ついこの間まで施設で子どもたちのケアを行っていたスタッフが広報業務を手探りで行わなければならない現状があるとのこと。
伝えるべき「内容」についてはやはり現場の子どもたちのようすを知る施設職員の専門性が重要である一方で、それをどのように伝えていくのか、その「方法」についてはその道の専門性が必要になります。
ともがきさんとLiving in Peaceさんの関係はまさにそうした協働を体現している取り組みであり、このような事例がもっと広がっていくことが望ましいといえるでしょう。
最後のテーマは「未来に向けた私たちにできるアクション」
里親になる、あるいは支援者として活動する、ということにはハードルを感じるもの。それでもまずできることから始めてほしい、と一同から視聴者へメッセージが送られました。
こんなイベントを見た・聞いたということを周りの人に話していただくこと、所属する組織やグループの勉強会等に今回の出演陣を呼んでいただくこと、イベント会場をご提供いただくこと、福祉に関係ないと思えるようなスキルでもプロボノとしてご協力いただけること、ご自身の勤務先で「里親フレンドリー」な制度を設計していただくこと、バディチームの活動説明会に参加してみること、世田谷の里親相談室SETA-OYAのLINE公式アカウントを友だち登録していただくこと、各団体に寄付していただくこと、などなど。
濱田からは、「『何かしたいけど、私に何ができる…?』と迷うようなら、1回マジで連絡ちょうだい!」と力を込めてお伝えさせていただきました。
あっという間の1時間でしたが、ここに書ききれなかったこともまだまだたくさんあります。
ぜひアーカイブ動画をチェックしてみてください!
ともがきさんの発信する中心的なメッセージについて、岩田さんが語ってくれました。
「里親って、特別な人が特殊なことをしているわけじゃなくて、家庭の中で普通のことをして、普通の生活の中で子どもたちを守ってくださっている、ということ。そして当たり前にみなさんの近くにもいる、ということ。」
多様な家族のあり方が当たり前のものとして受け入れられることは、「みんなで子育て」する社会に近づくことでもあります。
里親家庭を増やし、同時に支えること、バディチームはこれからも活動と発信を続けていきます。
Living in Peaceさん、ともがきさん、ありがとうございました!
これからもよろしくお願いします!