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お知らせ 2025.06.10
【出張講座レポート】 文京区 本駒込南児童館
バディチームでは今年度、日本財団より助成を受けて「里親子に対する理解促進および訪問型支援の強化」事業が進行中。
その一環として、保育・教育・子育て支援に従事する職員の方々を対象に、里親子への具体的な配慮や対応についてお伝えする出張講座に取り組んでいます。
2024年11月13日(水)、文京区にある本駒込南児童館さんで開催した出張講座のもようをレポートします!
本駒込南児童館
東京メトロ南北線・本駒込駅から徒歩7分ほどの場所にある本駒込南児童館。
保育園と併設になっており、子どもたちの賑やかな遊び声が響きます。
午前中は乳幼児さんの親子が多く利用し、午後は学校帰りの小学生から中高生まで遊びにやってきます。
今回は館長さんをはじめ11名の職員のみなさんにご参加いただきました。
里親制度について
今回は東京都の里親支援機関事業を受託し、文京区を含む児童相談センター管内を担当する二葉乳児院さんとの協働開催。
まずは里親委託等推進員の長谷川優子さんから、里親制度についてお話をしていただきました。
里親(養育家庭)は養子縁組とは違い戸籍上の親子関係とはならないことや、短期から長期までお子さんの状況により預かる期間が異なること、里親手当のことなどといった制度の概要。
また、そもそもなぜ子どもたちが生みの親のもとで暮らすことができず「社会的養護」となるのか、その背景には親も社会的に孤立したなかで不安定な妊娠期間を経ている場合も多いこと。
そして、里親に期待される「こころの安全基地」としての役割や、里親子が暮らしやすい地域であるために偏見や特別視のない環境が必要であることなどをお話しいただきました。
「今日学校であった嬉しかったことを聞いてくれること」や「昨日の絵本の続きを読んでくれること」など、ごくごく日常的な体験が、交代勤務で職員さんが働く施設ではかなわないことも多く、里親家庭で特定の大人との愛着関係のもとで過ごすそうした日常が、子どもたちにとってとても大切だというお話が印象的でした。
どんな人が里親(養育家庭)になっているか?についてもお話いただきました。
ご夫婦で子育て中の方も、子育てがひと段落した世代で登録される方もいらっしゃいます。同性カップルの方も近年増えているとのこと。その他、単身の方なども登録されています。
▼詳しくはこちらをご覧ください!
里親さんの生の声
続いては、実際の里親さんの声です。
バディチームが2023年6月に開催したオンラインイベントのアーカイブ動画から、出演された里親さんのお話をみなさんに観ていただきました。
▼オンラインイベント
里親家庭の親子を地域で支えるためのトーク&ミーティング~従事者むけ意識調査と当事者の声から~
▼アーカイブ動画の全編はこちら
(32:05付近から里親さんのお話がご覧いただけます)
里親になったきっかけや暮らしの中での嬉しかったエピソードもご紹介いただきながら、「もっと理解が広がるといいなと思うのはどんな場面か」についてお話をいただいています。
公共機関での手続きの場面や、医療機関で保険証ではなく「受診券」を利用すること、小学校での入学式でお子さんの姓を戸籍名と通称名のどちらを利用するかということ。
また子育てひろばや発達支援の機関などで、出生体重や出生週数、歩き始めた時期、しゃべり始めた時期を質問される場面が多いこと、など。
反対に、他の里親さんのケースも含めて「こういう対応をしてもらって助かった」というお話も。
小学校での「2分の1成人式」では、みんなの前で発表するという形式ではなく、お手紙を書いて親御さんに渡す形式にしてくれた先生がいたこと。
保育園や幼稚園で、幼少期からの写真を集めてアルバムを制作することになったとき、「私も3才のものしかないから、あなたも同じでいいよ」と言ってくれたママ友がいたこと。
そして、最後にメッセージをいただいています。
一般家庭も子育てはとても大変。そんなに特別扱いしていただかなくても、本当に普通に接していただきたいのです。
ただ、幼少期のことを知らないということや、あとは一番感じるのが、里子さんにはもちろん実親さんがいるので、私たち里親に遠慮して話さないことが割と多いのです。
それを保育園の先生や学校の先生が少し拾ってもらって、私たちに伝えてもらえると、何を考えていたのか、どんな考え方をしていたのかを知ることにもつながります。
その辺りは時々、気遣っていただき、声をかけてもらえると、嬉しいなと思います。
ぜひ動画もご覧ください!
ワーク 「よく使う声かけ」から考える
後半はワークです。
赤ちゃん連れの親子が初めての利用で訪れている場面を想定して、そうした場面で「よく使う声かけ」から、相手が里親子だったら?を想像していただきました。
- どの辺に住んでるんですか?
- 寝られていますか?
- 他のひろばや児童館は行ってますか?
- 育休中ですか?
などが、過去の出張講座で挙げられた「よく使う声かけ」で、その多くは、相手が里親子だとしてもとくに困惑させるとは考えにくいものでした。
つまり、「普通でよい」ということ。
職員のみなさんの普段通りの対応をしていただければ、特別扱いが必要なわけではないということが、この講座の答え合わせ、その一部、ということになります。
では残りの部分はというと。
少し親子を困惑させるかもしれない声かけもありました。
- 出産はどこの産院で?
- 里帰り出産ですか?
- ○○ちゃんはきょうだいはいるんですか?
など、出産やきょうだいに関わるものです。「パパとママ、どちら似ですか?」なども含まれます。
自身が出産した赤ちゃんではないこともありうるということ。それは里親子だけではなく、ステップファミリー(子連れ再婚)かもしれないですし、母に代わって世話をしているご親戚かもしれません。
多様な家族がいることを、初めての声かけの際にも少しだけ意識していただく。そのことは、結果としてすべての親子が暮らしやすい地域につながっていくと思います。
とはいえ、話の流れでついそうした声かけが出てしまうこともありますよね。
そんなとき、「実は里子で…」と答えが返ってきたら、どんな「二の句」を継ぐことができるといいか?
ワークではこの問いについても考えていただきました。
- (子どもさんは)いつからいらっしゃってるんですか?
- 何か困りごとはないですか?
- こういうおもちゃが好きなんですね~
などのアイディアを出していただきました。
もちろん1つの正しい解答があるわけではありません。何よりも、自然体で受け止めていただくこと。里親子が当たり前に受け入れてもらえることが大切で、そのために、講座の前半でお伝えしたような制度のちょっとした知識なども活用いただけると嬉しいなと思います。
里親家庭の理解者・応援団に
アンケートではこんな感想をいただきました。
- 特別扱いはしなくてもいいんだよということを知ることが出来たのでよかった
- 具体的に想定したことがなかったので、対応の心得ができてよかった
- 利用申請書の書類に子と保護者が別姓のケースがあるが「里親」という考えはなかったので、その可能性について知ることができた
- 里親に限らず、ひとり親など特別な事情がある家庭はいろいろとあるかと思いますので、今回学んだことを活かしていきたいです
この出張講座は、それぞれの職場に応じた具体的な場面をもとに、里親家庭の親子について想像し、理解者・応援団となっていただくことを願って取り組んでいます。
里親家庭が当たり前に受け入れられ、多様な家族が暮らしやすい「みんなで子育てする社会」は、こうした場での1つ1つの出会いと対話から生まれるだろうと思います。
バディチームでは引き続き、この活動に取り組んでいきます。
おでかけひろば・保育園・児童館・学童、その他の有志のグループでも、ぜひお招きください!
今回お招きいただいた本駒込南児童館さん、そしてご協力いただいた二葉乳児院の長谷川さん、ありがとうございました!
左から バディチーム・濱田、二葉乳児院・長谷川優子さん、日本財団・長谷川愛さん
出張講座のお申込みはこちらから!お気軽にお問い合わせください。
このイベントは日本財団より助成を受け、2024年度「里親子に対する理解促進および訪問型支援の強化事業」の一環として開催されました。