【保育バカ一代】vol.29 あなただけ見つめてる
コラム 2024.11.25【保育バカ一代】vol.29 あなただけ見つめてる
これは子ども数名と保育者数名で公園に行ったときに起こった、ヒヤリハットの話である。
新人の女性保育者が1歳女児にピッタリと寄り添い、視線をロックオンして女児をジイ~ッと見つめている。保育者の「絶対に目を離さないぞ」という強い意志がひしひしと伝わってくる。
やがて女児は何かを見つけてトコトコ歩き出し、保育者も後に続いて一緒に歩き出す。女児の視線の10メートルほど先にはスプリング遊具があり、小学生がまたがってイエーイと楽しそうに遊んでいる。そして、女児と保育者はまるで電車ごっこのように、縦に並んでそこへ向かって進んでいく。
グワーングワーンと激しく揺れる遊具と女児の距離がどんどん縮まっていくが、保育者が女児を止める気配はまったくない。自分の前を歩く女児のことは見えていても、その先にある危険までは見えていないのだ。状況はブレーキの壊れた列車が終着駅に向かって暴走しているような様相を呈している。
あと3メートル……あと2メートル……危ないっ!!
幸い、私が走って追いかけてギリギリ追いついたので激突は回避できた。だが、もう少し遅かったら大事故になっていただろう。その保育者が子どもから目を離さずによく見ていたのは間違いないが、それだけでは子どもの安全は守れないということがよくわかる出来事だった。
サッカーは足下のボールだけを見てドリブルしたら、あっという間にボールをとられてしまう。他の選手の動きに注意しながらボールをキープしなければ、次のプレーにつなげることはできない。
子どもの見守りもそれと同じである。
「子どもから目を離さない」とは読んで字のごとく、物理的に子どもだけを見るということではない。
子どものまわりにも目を向けなければ、子どもを危険から守ることはできない。子どもを見ながらまわりを意識し、まわりを見ながら子どもを意識する。そういう感覚を養おう。
事務局スタッフ“しげさん”による保育エッセイ♪
子どもや保護者との関わりにおいて大切なことやさまざまな保育の現場で感じたことを、あたたかくユーモラスな視点で綴っています。
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