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【イベントレポート】家庭訪問型支援 実践カンファレンス~「取組のポイント集を読み解き、もっと親子の近くへ」~

2026年2月28日、オンラインイベント「家庭訪問型支援 実践カンファレンス」を開催しました。

児童福祉法の改正により2024年に新設された「子育て世帯訪問支援事業」ですが、全国の自治体での実施率は約52%(2025年6月)にとどまっており、また取組みの実態にも大きな地域格差があることが課題になっています。

そこで、国の調査をもとにとりまとめられた「市町村向け取組のポイント集」を読み解き、全国の実践者どうしで情報交換を行うオンラインイベントを開催しました。

当日のもようをお伝えします!

※ここにご紹介するのはイベントのほんの一部です。ぜひアーカイブ動画で全編をご覧ください!

■出演
今川成樹:株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 シニアマネジャー / 工学博士
岡田妙子:認定NPO法人バディチーム 理事長

自治体むけの実態調査と「取組のポイント集」

今川成樹:株式会社日本総合研究所

私は日本総合研究所というシンクタンクで働いている者で、児童福祉法改正(令和4年)に伴って、家庭支援事業の立ち上げから、こども家庭庁・旧厚労省と一緒に検討を行ってきたところです。

令和6年度の子育て世帯訪問支援事業に関する調査研究では、事業者さんを育成していくという意味で研修コンテンツを作り、またそれとは別に、自治体向けに「取組のポイント集」を作らせていただきました。

まず、自治体が事業を実施していない理由として大きいのは、実施可能な委託事業者が自治体内や近隣に存在しないということが課題として挙げられています。やりたくても事業者さんがいないとお困りの自治体さんが多いということを踏まえると、たとえば事業者の一覧といったものを作って、そこを見て連絡先がわかるような状態にしていくという取り組みも、1つ重要な視点かなと思います。

併せて「量の見込みを算出していないが需要がないと認識しているため」という回答も多く、そもそもニーズがあると思っていない自治体さんが1/4程度あるという実態も明らかになりました。

また自治体ごとに事業の位置づけが異なっていて、ミドルリスクむけと言いながらかなりポピュレーションアプローチに近いような位置づけで提供されている自治体もあります。民間事業者さんと自治体側でこのあたりの認識がずれてしまっているというケースもあるようですので、お互い事業の位置づけを意識しながらコミュニケーションをとっていただくことが重要ではないかと考えています。

コーディネーターの配置 4~5年かけてしっかり声を上げていく取り組みを

続いてですが、現状は子どもが0〜3歳の期間を対象に提供されているケースが非常に多いというところです。これはこども家庭庁の政策全体として、もう少し上の年代も対象にするように、国から自治体に対しても求められてくるところかなと思います。

他には、包括的な支援を実施する際に誰が統括をすればいいかであったり、支援を開始・終了する際に子どもに対してどのような配慮が必要か、というところも挙げさせていただいています。

そして、コーディネーターの配置に関するところです。非常に重要だという声は多い一方で、実態としてなかなか配置できていないという課題があります。配置できていないのはそもそも予算がついていないからというところかなというふうに思っていますが。

国の方では、声を上げたからといって1年後に急に予算をつけられるかというと実態としてちょっと難しい状況がありますので、4〜5年かけてしっかり声を上げていきながら、そこに予算をつけていただくという取り組みが必要と思っています。

好事例を積み上げながら自治体さんとしっかりコミュニケーションをとっていただく、また、他事業と合わせてコーディネート機能(予算)を捻出するという視点も重要かなと思います。

支援の効果測定 事業の継続・拡大にむけた「ボディブロー」に

続いてのポイントは、委託先からの随時報告のルールを決めておきましょうというところです。

トラブル対応という意味でも重要で、直前のキャンセルであったり、行ってみたら利用者が不在だったというケースがかなり多くあるようですが、すでに訪問している場合は交通費であったり移動時間の人件費等も実際に発生しているところ、自治体さんとコミュニケーションを取りながらルールを決めていただくということが重要かなと考えています。

最後は、支援の効果測定を行っていないというところが多かったり、やれていたとしても定性的な測定(担当者の声)になっているという点です。

この支援でどういう効果が出ているか、この意識を持って取り組んでいただけると、自治体にとってもありがたいと思われますし、事業の継続・拡大にむけて「ボディブロー」のように効いてくると思いますので、ぜひ意識いただけるとありがたいと思います。

レッドゾーン家庭にこそ、定期的に訪問して親子に寄り添う支援を

岡田妙子:認定NPO法人バディチーム 理事長

バディチームは現在、都内13区で子育て世帯訪問支援事業を担当しています。

同じ制度・事業でありながらその運用は大きく異なります。どのやり方でも一長一短がありますし、支援する家庭の状況によっても適した形は変わるため、どの地域が最も優れているとは一概に言えるものではないと感じています。

国の示す対象は幅広いイエローゾーン(リスク中程度)ということになっていますが、私たちはレッドゾーン(高リスク)にかなり近いところも対象になっている状況があります。

保護者自身が、「普通」に清潔な室内環境であったり、手作りの温かい食事であったり、親からの優しい言葉がけであったり、そういったことの経験がないまま大人になって子どもができて、ギリギリの状態で子育てをしている。そういった家庭に対してこそ、定期的に訪問して親子に寄り添う支援が必要になっていると思っています。

現場支援者は年齢・性別・資格や経験を問わず募集しています。対象家庭が0〜18歳までということで、それぞれ得意分野を生かして活躍いただいています。学生さん、普段はIT企業で勤務している50代の男性、地域住民の80歳の方もいます。保育士や社会福祉士など何らかの資格保有者の方々もいますが、みんな同じ立場で活動を担ってくださっています。

制度上の課題はありながらも、家庭訪問型支援の実践がもっと広がるように

そして、そんな現場支援者に伴走するのが、事務局のコーディネーターという役割になります。現場支援者・対象家庭そして行政の間に入り、日程調整や情報共有・役割分担の整理など、ありとあらゆる調整を担っています。

事業を安定して運営するためには欠かせない存在ですが、この点への理解が十分に反映されていない制度になっています。

もう1つの課題は利用者負担です。本当は支援が必要なのに利用者負担金があることで利用抑制になってしまうとか、せっかく築いた関係性が利用料徴収の問題によってより難しくなってしまうケースもあります。みなさんの地域ではいかがでしょうか。

バディチームでは、この訪問型支援の実践がもっと広がっていくこと、そしてその担い手となる団体さんが増えていくことにも力を入れたいと考え、今年度から手探りながら中間支援をスタートしました

子ども食堂さんなど、すでに地域で活動されているみなさんが訪問型支援を取り入れたいという動きも応援していきたいと思っています。

グループディスカッションから

【岡田】(バディチーム)
こちらのグループでは、お1人は介護のグループホームをやっていらっしゃって、今年度から子育て世帯訪問支援事業を同じ市の中で5事業者のうちの1つとして受託しているということ。

もう1人の方は30年前から子育て支援活動、ファミリー・サポート・センター事業をやってらっしゃって、いま子育て世帯訪問支援事業を受託されてますが、やはり利用者負担金があることで支援が一旦ストップしているという話がありました。

日本総研さんの研修動画がすごく良かったというお話もあがっていました。

【今川】(日本総合研究所)
私のグループは、お1人はファミリー・サポート・センターと0〜3歳の訪問支援、もう1人は自治体独自の訪問支援をやられているという方でした。

いずれも結構ボランティアで回されているというところでしたが、お1人は人材の確保について悩まれていて、他方はリタイア後の高齢者の方々、特に70代の方々の巻き込みというのをうまく成功されているというお話でした。

【参加者】
こちらでは、利用家庭から「こんなの使ってよかったんですか」「私は対象じゃないと思っていた」という声があったという方がいました。

これは特別な人の支援だと思っていて、無償だったり、手を挙げれば使えるような仕組みじゃないと、肝心な人に届かないという意見もありました。

【参加者】
子育て世帯訪問支援事業の中で、発生予防を目指す無償ボランティアなどによる支援(ホームスタート等)を活性化することもとても有効だと考えています。

発生予防を推進するためにはどんな政策的・実践的な取り組みがあればいいと思いますか?

【今川】
発生予防ということで言うと、ポピュレーション的に接点を持つ必要性がどうしてもあるんじゃないかなという気はします。

母子保健事業のように、0〜3歳全員に家事支援員がつくような、そういう社会になってくると発生予防しやすい形になるとは思います。実態としてはよりリスクの高い人の方がその接点から逃げるという難しさもあるので、そのあたりは今後、政策的にもっと考えていかなきゃいけないと思います。

参加者の声

●子育て世帯訪問事業について、全体として課題になっていることや全国的な動きを知ることができてよかった。

●他事業所の抱えている問題や課題を共有することができました。問題解決の糸口となる情報もいただくことができて感謝しています。

●全国で、地道に頑張っている方々がいらっしゃることが、うれしく、エンパワメントされました!

最後までお読みいただきありがとうございました!

可能性を秘めているからこそ課題も大きい子育て世帯訪問支援事業の実践は、いま全国で模索が続いています。バディチームでは今後もこうした学び合いの場づくりを行い、関係機関のみなさんと手を携えて、行政に対しての働きかけも行っていきます。

※ここでご紹介したのはイベントのほんの一部です。ぜひアーカイブ動画で全編もご覧ください!

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※このイベントは日本財団より助成を受け、2025年度「訪問型養育支援の量的拡充と研修カリキュラムの開発」事業の一環として開催されました。

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