特定非営利活動法人バディチーム

【開催報告】「いま子どもと親は、だれに支えられて生きるべきか-里親家庭編-」Vol.1

バディチームでは(公財)東京都福祉保健財団より2ヶ年度(2019~2020年度)の助成を受けて、トークイベントを開催しています。

 

今年度は当初5月に開催予定でしたが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴って延期、さらに形態をオンラインに変更して、9月20日に「いま子どもと親は、だれに支えられて生きるべきか-里親家庭編-」を開催しました。

特設サイト:https://buddyteam0920.studio.site/

 

現在、実親のもとを離れて暮らす「社会的養護」の子どもたちは全国に約4万5千人。このうちファミリーホームを含む里親家庭に暮らすのは20%に満たないといわれており(H29年度末)、国際比較で日本は大きく後れを取っています。

国はこの割合を引き上げるべく数値目標を掲げていますが、しかし、とにかく里親の数を増やせばいいわけではないということは、言うまでもありません。

 

さまざまな背景や事情、別れと喪失の経験をもつ子どもを引き受け、育てるということは、とても一筋縄ではいかないことであり、「里親を増やす」ことと同時に、「里親を支える」ことが必要なのだと、バディチームは考えています。

 

そのような主旨のもと、里親当事者どうしの支え合いから地域住民も巻き込む活動を行う齋藤直巨(さいとうなおみ)さん、子どもたちが里親のもとへ託される前の段階から親子に対する支援を行う、乳児院の職員である山田愛弓(やまだあゆみ)さん、そして、里親家庭に第三者として訪問型の支援を行うバディチームの岡田という顔ぶれで、それぞれの実践について語り合いました。

 

社内会議や小人数での団体説明会はオンラインで実施していましたが、数十人規模での開催は初めてとなるオンラインイベント。

事前にリハーサルを行い当日の運営スタッフも十分に配置していたつもりでしたが、ZOOMの参加者リストの異常、画面共有時の異音、出演順の変更、グループ分割時のシステムダウンなど、想定外のトラブルに見舞われて現場はてんてこ舞いに…!

 

ご理解のある出演者・参加者のみなさんに救われて最後は笑顔で終えることができましたが、心中は「もう笑うしかない…」というぐったり感。

コロナに対する憎い気持ちもいっそう強まることになりました。

 

思い返せば初めてのオンライン開催だというのに、5月にリアル開催を予定していた時点の定員60名をそのままにしてしまったのが災いの始まりだったような気がします。

(もっと小規模にすべきだったかもしれません…。)

 

2ヶ月足らずの告知期間、そして「里親になる」でも「里親を知る」でもなく「里親を支える」という、かなりニッチと思われるテーマでしたが、総申込数は76名、当日は60名満員となりました。

 

里親当事者の方も13名、児童養護施設や乳児院の職員さん9名、自治体職員さんも9名のご参加をいただき、「玄人」ぞろいの様相。

 

最初のプレゼンターとなったのは聖友乳児院(社会福祉法人聖友ホーム)の山田愛弓さん。

コロナ禍にあって乳児院は厳戒態勢シフト、当日も緊急出動の可能性が否定できないということで、この日は事前に収録いただいたVTRによる出演となりました。

 

「施設における里親支援の取り組みについて」と題して、

 

・里親交流支援員の役割

・里親支援専門相談員の役割

・委託後支援としての親子参加型イベント

・里親制度の普及啓発活動としての「すぎなみ里親プロジェクト」

・里親サポーターとの協働

 

についてお話をいただきました。

 

施設の担当養育者から里親さんへ「養育のバトン」をつなぐ、その丁寧な取り組みに、感銘を受けます。

家庭養育推進の流れの中で、ともすれば槍玉にあげられがちな施設養育ですが、家庭か施設かという二文法ではなく、「子どもを養育していくチームのメンバー」(山田さん談)としての施設、という理解がもっと必要なのだと感じさせられました。

 

地域住民を里親サポーターとして巻き込み、地域に里親の理解者を増やす取り組みとしての「すぎなみ里親プロジェクト」、ぜひチェックしてみてください!

 

2番手はバディチームの代表・岡田からバディチームの里親支援の取り組みの概要について、そして事務局員の村岡からさらにその詳細について、お伝えしました。

 

バディチームの里親支援は、養育困難家庭に対する虐待防止活動の延長上にあるということ。

 

里親は「子育てのエキスパート」と思われてしまうこともありますが、実際にはそんなことはない「普通の」人が、さまざまな背景をもつ里子を預かって育てており、大変さがあり、それが虐待に至るリスクもあります。

バディチームは実親実子の家庭と同じく、その大変さに対して家庭訪問型の支援を行っているのです。

 

そして3番手、一般社団法人グローハッピー代表の齋藤直巨さん。

 

齋藤さんは2人の実子と1人の里子を育てており、これまで一時保護・短期も含めて5人の里子の養育を経験してこられました。

里親としての日常については、例えばこちらの記事に紹介があります。

Tokyo里親ナビ「里子を迎え、一緒に生きる仲間が増えました」

 

ご自身が先輩里親に救われた体験から、里親当事者どうしの支え合いを大切にされている齋藤さん。

その契機としては、里親家庭で起こった虐待死事件「杉並事件」がありました。

「私自身も事件の当事者になっていたのではないか」、そんな思いから、里親仲間とともに支え合う活動を始めます。

 

またご自身の暮らす東京・中野の地域に理解者・仲間を増やす活動も行っており、東京大学公共政策大学院が主催する「チャレンジ!オープンガバナンス2016」においてグランプリを受賞したアイディアでは、「ママからファミサポへ、ファミサポから里親へ」がキーワード。

里親を地域の子育て支援の仕組みの1つとしてとらえ、支援者がファミサポから里親へステップアップしていく仕組みづくりが提唱されています。

 

そして、そのステップアップの「基準」を探るなかから生まれた「ナイス!な親プロジェクト おとな&こども会議」では、子ども、里親、専門家が喧々諤々、赤裸々に語り合うなかから「里親の子育てスキル12ヶ条」が定められました。

今後この「里親の子育てスキル12ヶ条」普及のための活動が予定されています。

 

「里親は、『子育ての保険』です!」と言い、里親も支援者もいっしょに子育てしていくことが、ヘルシーな子育て環境を子どもに届けることにつながる、と語る齋藤さん。

一般社団法人グローハッピーから、今後も目が離せません。

 

プレゼンが終了した時点で予定を1時間近くオーバーしていましたが…、続く質疑応答では活発な意見交換が行われました。

 

「支援者の給与は?」といった生々しいものから、「地域で子育て」することを子ども目線で見た場合のメリットあるいはデメリット、コロナ禍での状況、実親との関係、などなど。

濃密な質疑応答パートの内容については記事を改めてご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

 

質疑応答中、齋藤さんの「悩んだら、もう連絡ください!」「仲間いるよ!」というメッセージがとても心強く響きます。

 

アンケートでは「里親はスーパーマンではなく、色々な人に頼ることも大切だとわかりました」「一般家庭の子育て支援同様に里親支援も必要だと考えていたが、その実際の声を聞くことができた」などの声が寄せられ、一般の子育て家庭から、養育困難家庭、里親家庭、そして施設に至るまで、支援は地続きで必要とされていて、そしてそこでは「普通の」人たちが活躍できるということを、参加されたみなさんにも感じていただけたのではないかと思います。

 

主催した側としては今回のイベントを通じて、施設や児相でも心ある職員の方々が親子のためにがんばってくれていて、里親さんも含めて、みんな子どもを育てる仲間なんだと、実感を伴って思えたことが大きな収穫でした。やっぱり出会うって大事。

 

社会的養護や「里親を支える」ということについては社会的認知も活動量もまだまだ不足しているのが現状ですが、それぞれの場所でできること、そしていっしょにできることを模索しながら進んでいきたいと、改めて感じます。一歩ずつ、少しずつ。

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