特定非営利活動法人バディチーム
渋谷のラジオ 2020.09.01

渋谷のラジオ「コロナ禍における訪問型支援-ある支援者の視点から」

バディチームは2019年3月に渋谷のラジオの「渋谷のプロボノ部」に出演させていただいたことがきっかけで、同10月より、毎週火曜日の朝9時に放送中の「渋谷社会部」に月1回(第一火曜日)のレギュラーで出演中です。


代表の岡田と理事の濱田が毎月交代でパーソナリティを務め、バディチームの現場スタッフや、関連する分野で活躍されている方々をゲストに、さまざまなテーマで語り合っています。

 

9月1日(火)は株式会社LITALICOの三上修吾さんをゲストにお迎えして放送しました。


テーマは「コロナ禍における訪問型支援-ある支援者の視点から」。

 

LITALICOさんは、発達に特性のある子どもたちとその保護者への支援、関係機関に対するアプローチ、さらに研究まで、さまざまな事業を行っている会社です。

 

三上さんはその中で訪問支援員として勤務しており、保育所や学校、児童養護施設などお子さんの生活場面に訪問し、お子さん本人に対する支援はもちろん、先生や親御さんに対する助言・相談といった「環境調整」も行っています。

ちなみに今回の担当・濱田の友人でもあり、文字通りの友情出演となったのでした。

 

バディチームと同じ<訪問型>の支援を行う三上さんと、今回のコロナ禍で被った影響や見つかった課題について、また一方、そんな中でも見つかった希望について、語り合いました。

 

まず確認されたのは、コロナの急拡大期において「届けるべき人に支援を届けられなくなった」という困難です。

 

訪問先である保育園や学校が休業となったことから、その支援も中断せざるを得ない。

それは子どもたちの学びの機会が失われるということを意味しますが、とくに発達支援においては、いわゆる教科の学習についてだけではなく、集団や社会の中で「生きる力」を学ぶ機会が失われるということでもあります。

 

また、週に1回でも2回でも「ちょっと慣れたおじさん」(三上さん談)が来てくれて、周囲に伝わらない自分の気持ちを吐き出すことができていたその訪問が行えなくなるということは、お子さんの孤立を深めることにもつながります。

 

コロナによって支援の場自体が奪われ、届けるべき人に支援を届けられない困難が生じたのです。

 

バディチームでも、まず事業を一時全面停止と判断した自治体もあり、また継続した自治体においてもご家庭側からの利用自粛、さらに家庭を訪問する現場スタッフのみなさんの活動自粛もあり、活動量は大幅に減少しました。

 

この間、児童相談所の児童虐待相談対応件数は1~6月の前年比で約10%増加しており、過去最多のペースとなっています。

 NHK 児童虐待対応件数 過去最多のペース コロナで潜在化の可能性も

 

「ステイホーム」による家庭の孤立化と虐待リスクの高まりを、他人事でないと感じた方も多かったのではないでしょうか。

 

確実にニーズは増えているにも関わらず活動量は減らさざるを得ない、届けるべき人に支援が届けられない、ここにも同様の困難とジレンマが生じていました。

 

どうしたらこの困難あるいは「ダメージ」をより小さくすることができたのか、どこに課題があったのか。

 

一案として挙がったのは、より地域に根差した支援、です。

 

バディチームの現場スタッフのみなさんは電車やバスを利用してご家庭を訪問します。

「移動」がすなわちリスクとなるコロナ禍において、このことも「ダメージ」を大きくした一因でした。

たとえば自転車で、たとえば徒歩で訪問できる圏内であれば、活動を継続できたスタッフもいたかもしれません。

 

「地域の力」とはもうどこか使い古されつつあるような言葉でもありますが、今回のような状況にあって、改めて焦点をあてるべき課題であると痛感させられます。

 

一方、困難な状況下ではありながら、課題ばかりではなくポジティブな面を見ることもできました。

 

それは、アウトリーチ型支援の必要性について認知が広がったことです。

 

子ども食堂に代表されるような<居場所型>の支援が盛り上がりを見せていた中、そこに集まることができないという状況が発生したことによって、家庭に出向いて支援を届けるアウトリーチ型、すなわち<訪問型>の支援が必要だという認知が広がったことは、今後の希望と見ていいのではないでしょうか。

 

国は「支援対象児童等見守り強化事業」として、民間団体が家庭に定期的に訪問を行い状況把握を行うことによって、地域の虐待防止ネットワークの網の目をこまかくする事業に新たに予算をつけました。

https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000634847.pdf (p8)

ここでの「民間団体」には子ども食堂や宅食を実施していた団体が想定されており、これまで<居場所型>の活動を行っていた人々によって<訪問型>の支援が新たに開始され、強化されることが期待されます。

 

また三上さんによれば、発達支援の領域では、保育園や学校といった場所だけでなく、家庭に訪問して支援を行うことが、緊急的な措置であったとはいえ一時的に認められ、さらに電話やオンラインツールを使った保護者相談等が、現状の枠組みの中で認められた事例もあったとのこと。

 

このようにコロナの困難な状況に陥ったからこそ、アウトリーチの必要性が認められ、支援のバリエーションや、家庭に支援を届けるアプローチを増やしていく兆しが見られたことは、ポジティブな面といえるのはないでしょうか。

 

そんな希望を今後につなげていくために、三上さんから問題提起がなされたのは、活動の「ネーミング」についてでした。

 

保育所等訪問支援や発達支援という活動の名前につきまとう「発達障害」のネガティブなイメージ。それがために、本来であれば支援を受けるべき、困り感を抱えた人自身が利用を控えてしまうことがあるといいます。

バディチームの活動における「虐待防止」という言葉にも、同様のことがいえるでしょう。

「うちは発達障害じゃない/虐待じゃない」。

 

支援のバリエーションやアプローチが増えても、家庭の側から拒否されてはそれを届けることができません。

特定のネガティブなイメージを与えない、もっと「フラット」なネーミングがないか、という提案でした。

 

きっと「子ども食堂」がここまで広がりを見せたことには、そうした背景もあったのかもしれません。

 

まだまだ終息の目途は立たず、コロナとは長く付き合っていかなければならない状況のもと、既存の制度の枠組みの中で工夫して支援のバリエーションを増やすこと、あるいは制度の枠組み自体を変えていくこと、そして、少しアクロバティックな発想ではありますが、活動のネーミングについても考えてみること。

 

「届けるべき人に支援を届ける」ために、できることから手探りで、一歩ずつでも進んでいきたいと思うのでした。

 

三上さん、ありがとうございました!

 

*LITALICOさんには、新型コロナウィルス感染症により臨時休校(休園)となった子どもたちとその家庭に対して、おうちで学べる情報や遊びの情報を2回に渡ってご提供いただきました。

 

その情報を社会的養育の子どもたちにも届けることができないかと考え、都内の乳児院・児童養護施設の里親支援専門相談員へ情報提供を行いました。さらに一部の管内では里親支援専門相談員から児童相談所へ提案をしていただき、里親家庭へ情報を届けることもできました。


LITALICOさんには、この場をお借りしまして心より御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

▼放送はこちらから!
2020年09月01日(火) 9:00-9:55
https://note.com/shiburadi/n/n1a8fcbdc9970

 

▼渋谷のラジオ
https://shiburadi.com/

 

 

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