特定非営利活動法人バディチーム

【保育バカ一代】vol.25 卵と鶏の妥協点

「2ヶ月後に保育園に入園する3歳のKくんと、家の中で一緒に遊んでほしい」

 

都内某区の子ども家庭支援センター(以下「子家セン」)から依頼を受け、私が担当することになった。週に1回、1日2時間の短期の支援である。だが……

 

Kくんはとっても人懐っこく、そしてものすごく活発だった。じっとしていることなんてまったくできず、リビングや寝室やベランダを縦横無尽に駆け回った。その動きはまるで忍者かターザンのようであり、私の目の前で次から次へとヒヤリハットを量産した。体力が有り余っていることは明らかだった。

 

「家の中で遊ぶのは危険なので、公園でおもいきり遊ばせて発散させたい」

 

私はそう子家センに提案したが、子家センからの返事はこうだった。

 

「公園で遊ぶのは危険なので、家の中で集中して遊べることをしてほしい」

 

家の中が危ないから公園なのか、公園が危ないから家の中なのか。

まるで「卵が先か、鶏が先か」のように両者の意見はかみ合わず、私はこの支援を続けることに強い疑問を抱いた。そして私は上司やまわりの人に相談し、この支援を辞退することにした。最終的な訪問回数は2回、合計4時間だけの支援だった。

 

当時を振り返り、私は「もうちょっと続けてもよかったかな」と思っている。とはいっても「自分の力不足で子家センに迷惑をかけた」と反省できるほど、私はできた人間ではない。ただ、ひとつだけやり残したことがあるのだ。

 

新聞紙で剣を作って叩き合う。これなら家の中でおもいきり体を動かして発散できる。きっとKくんも大喜びでブンブン振り回してくるだろう。普通のチャンバラに飽きたら「叩いてかぶってジャンケンポン」をするのも面白い。ヘルメットが無ければ風呂場の洗面器や台所のボウルを代用すればいい。

 

子家センが望んだのはもっと秩序のある遊びかもしれないが、子家センの「家の中で集中して」と私の「公園でおもいきり」を足して2で割った「家の中でおもいきり」は、なかなか悪くない妥協点だと思う。

 

卵と鶏に例えるなら、いい鶏肉が手に入り「どうやって食べようかな。焼き鳥にしようか、それとも親子丼にしようか」と迷い「そうだ、焼き鳥を卵でとじた『焼き鳥親子丼』にしよう」とひらめいたようなものである。実においしそうではないか。作ったことないけど。

 

せめてKくんには保育園でのびのびと楽しい日々を過ごしていてほしい。

 

 


 


事務局スタッフ“しげさん”による保育エッセイ♪

子どもや保護者との関わりにおいて大切なことやさまざまな保育の現場で感じたことを、あたたかくユーモラスな視点で綴っています。 

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